「パブロフの犬」のお話を聞いたことがありますか?
その実験と、何を意味するのかということを解説します!
【パブロフの犬】
「パブロフの犬」は、ロシアの生理学者であるイワン・パブロフが行った条件反射の実験から名付けられた言葉です。
🍀実験方法
実験には、犬を使います。(パブロフの“犬”ですから。笑)
犬は、食事がくると喜びますね。
本来は、食事=快楽なのです。
そこで、ベルやメトロノームを鳴らして合図してから食事を与えるという手順を繰り返しました。
そもそもは、
食事→唾液分泌
の反応になるはずです。
しかし、この実験を繰り返すうちに、犬はベルの音を聞くだけで唾液を分泌するようになりました。
これは、無関係な刺激(ベル)が条件付けによって特定の反応(唾液分泌)を引き起こすことを示しています。
この実験は、心理学において、「古典的条件付け」の概念を確立しました。
特定の刺激と反応が結びつきメカニズムを解明したからです。
【アルバート坊や】
「パブロフの犬」の条件反射実験には、追従した実験があります。
例えば、「アルバート坊やの実験」です。
これは、1920年に、心理学者であるジョン・ワトソンとロザリー・レイナーによって行われた恐怖条件付けの実験です。
生後11ヶ月のアルバートという乳児に対し、白ネズミを見せると同時に大きな音を鳴らすことを繰り返し、ネズミを見るだけで恐怖反応を示すようになりました。
乳児にとってネズミは恐怖の対象とはなりません。
しかし、大きな音は、恐怖の対象になります。
そこで、大きな音とネズミをセットで登場させることによって、本来は恐怖ではないネズミが単体で出てきた時も恐怖を感じるようになったのです。
この実験は人間にも条件付けが可能であることを示しました。
ただし、倫理的な問題も指摘されていますが・・・
【意味するところ】
「パブロフの犬」の実験結果による理論は、人間や動物の行動を理解する基盤となり、教育・心理療法・マーケティングなど、さまざまな分野で応用されています。
🍀心理療法への応用
・行動療法
不安や恐怖症の治療に役立てられています。
特定の刺激と不安反応を切り離すことで、患者が恐怖を克服できるようにします。
・依存症療法
ドーパミン系の報酬作用を理解することで、依存症や強迫性障害の治療にあたらしいアプローチが行われています。
・習慣形成
無意識の行動パターンを変えるために、条件付けを利用して新しい習慣を形成することが可能です。
🍀教育への応用
・条件付けによる学習促進
教師は特定の刺激(例:ベルの音)を使用して、生徒の注意を引く方法をとります。
これにより、特定の行動や反応を促します。
・ポジティブなフィードバック
学習活動に対して報酬や賞賛を与えることで、学習意欲を高め、行動を強化します。
・習慣形成
繰り返しによる行動の定着を図り、学習者が自発的に学ぶ習慣を形成します。
🍀テレビCMへの応用
日本のある消費者金融会社の例です。
この会社は、テレビCMにチワワを使いました。
チワワの「かわいい」「小さい」というイメージを視聴者に植え付けることで、会社自体も「かわいい」「小さい」「親しみやすい」といった印象を与えるように設計されていました。
ある日本車メーカーの広告では、快適なソファーとモダンな部屋を用いてブランドに対する快適さとモダンさのイメージを条件付けました。
【おわりに】
「パブロフの犬」の実験では、
《意味のある条件》と《無意味な条件》をセットで繰り返すと、
《無意味な条件》に意味をつける学習をするということがわかりました。
これは、さまざまなことに応用できます。
心理学を知るって、面白いですよね。
実は、日常にも心理学の応用が転がっているかもしれません。
そして、自分で選んで「している」つもりでも、
心理学による操作によって
実は「させられている」ことかもしれませんね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
何かの参考になったり、新しい発見になったりすれば幸いです。